滝行で精神統一!

   ハロー、emile。久しぶりの表舞台です。みなさんは年末年始をいかがお過ごしだったでしょうか。私は、滝行で2023年の煩悩を払ってきました! 真冬に滝行? 一体どうなんだ ? そんなみなさんの疑問を解消すべく滝行体験レポを以下に記していきます。

 

 2023年12月26日。年の瀬が近づき、誰もが1年間の総ざらいとしてお清めをしたくなる季節。「そうだ、滝行をしよう」――有志のマイル員で向かったのは三重県の伊勢志摩エリア。滝行合宿初日となる26日は名古屋で台湾ラーメンを食べて、三重県に向かい伊勢神宮にお参りするコース。これだけでも十分ご利益を得られそうだが、我々は常に高みを目指している。

   次の日向かったのは、三重県鳥羽市、白滝大明神だ。近鉄志摩線の船津駅から歩いて約15分。こんなところに本当に滝なんてあるのだろうか? という山道を歩くと荘厳な空気感の入り口が見えてくる。受付を済ませて、滝行用に甚平をレンタルするとガイドのおじさんが登場。このおじさんがなかなか面白い。「東京から来る人はなかなか声を出せないけど君たちは出せるかな? 」確かに最初は滝行中に声を出すものとは思っていなかった。しかし、そう言われるとやる気が出る。いざ甚平に着替えて説明を受ける。

 

   おじさんによると、滝行には作法があるとのこと。滝には3回打たれることになるが、最初の1回は滝つぼに向かう前に心臓と頭を3回ずつ濡らし、お辞儀をしなければいけない。12月下旬の水温は当然だが氷のような冷たさで、突き刺すような寒さが体を襲う。しかし、初めて滝行をする興奮でアドレナリンが出ており、ドバっと水を体にかけることに成功。一礼して、いざ滝つぼへ。

 

   1回目に滝に打たれる際は体を慣らすことが目的。滝は後頭部に当たるように注意し、決して鼻呼吸はするなとのこと。震わせながら滝つぼに体を預けると、冷たい水が一気に顔を覆う。後頭部で水を浴びているはずなのに視界が水しぶきで遮られていく。びっくりして、鼻で呼吸してしまった。水が肺に入り、プールで溺れた小学生時代を思い出す。なるほど、甘く見るとこれはやられるな。

   水も滴るいい男が2回目の滝つぼへ向かう。2回目は自分の願いを口にしながら滝に打たれる。「ここで声を出せない人が多い。おじさんに願いが聞こえないようじゃ、山の神様に願いは届かないよ」と激励を受けて、いざ滝の中に。「清め給え !祓い給え !」と叫び自分の内なる気持ちを大明神に響かせる。私の座右の銘の一つとして、『不動心』という言葉がある。何事にも動じない精神という意味で、元メジャーリーガーの松井秀喜氏の自伝のタイトルにもなっている言葉だ。2024年こそは『不動心』のもとでさらに飛躍したい自分は「不動心身につけるぞぉぉぉぉ」と叫んだ。氷点下近い水温を浴びながら声なんて出せるのかと半信半疑だったが、水しぶきの音に負けじと声を張り上げるのは爽快で気持ちがいい。アドレナリンで寒さを感じない。たしかに神様に自分の気持ちは届いただろう。今後の私の活躍に期待してほしい。

 

   3回目は自分が悟りを開くまで入っていいとのこと。精神統一ができたら寒さを感じなくなるらしい。その境地に至れるのか。外気の寒さと水温の冷たさで痺れた感覚のまま滝つぼへ。『無』を目指して、滝に打たれる。全身を襲うのは凍えるような痛み。頭に穴が開きそうな痛みを感じるのは水温のせいか水圧のせいか。苦しい、呼吸がままならない。後で自分が滝に打たれている動画を見返すと明らかに15秒辺りから苦悶の表情を浮かべている。ほとんど呼吸ができないので当然だ。25秒程度で滝から出ると滝行は終わりを迎える。びっしょりと肌に張り付いている甚平を脱いだ瞬間が一番温かみを感じた。タオルで全身を拭いて、服を着たとき。伊勢志摩のすがすがしい空気と滝行をやり切った爽快感で魂が浄化された気がした。滝行のおじさんは滝行体験を通して色々と話す中で、我々の将来に期待してくれた。おじさんに将来の活躍を約束し、我々は白滝大明神を去った。

 

 その後は、志摩エリアで英虞湾を眺め、名古屋で名物のきしめんと味噌カツを食べるごく普通の旅行となった。しかし、魂が浄化された我々は強い。この経験をもとに『不動心』を目指して、どんな困難にも耐えられ、平常心でいられる人物になりたい。そして、きしめんのようにコシのある人物でありたい。