マイル野球部①

みなさんこんにちは! ライターのDJイッショウと申します。

今回から、野球の魅力を様々な観点からお伝えする新企画「マイル野球部」を始めていきます。記念すべき初回はメジャーリーグについてです!

 

北米4大スポーツの一つとされるメジャーリーグ、大谷翔平選手の活躍もあり、日本での注目度も高まっているのではないでしょうか。メジャーリーグを快適に楽しむ上で私が最も重要だと思っているのは「指標」です。メジャーリーグは日本のプロ野球に比べてデータを重要視し、選手の価値を測る指標が数多く存在します。

 

そこで今回は、メジャーリーグを観る上で知っておいてほしい指標(※)を打者編と投手編に分けザックリ解説させていただきます! 併せて今季の大谷翔平選手と他のスター選手達が残した指標を比較することで、彼のクレイジー具合をみなさんにお伝えできればと思います!

(※)指標はベースボールレファレンス社(https://www.baseball-reference.com/)のものを参照しています。

 

まずは打者を評価する指標です!

 

打率:ヒットを打つ確率のこと。打率.300(ヒットを打つ確率が30%)を超えると好打者とされる。最近のメジャーリーグでは打率よりも出塁率に焦点が当てられている。

今季の大谷選手の打率は.273。これは選手間投票でナショナル・リーグMVPの最終候補にノミネートされたオースティン・ライリーが残した数字と全く同じ。

 

 

出塁率:全打席中どれくらいの確率で出塁しているかという指標。打率との最も大きな違いは四死球を考慮する点。出塁率.350を超えると良いとされることが多い。

1997年にオークランド・アスレチックスのGMに就任したビリー・ビーンは、打率ではなく出塁率を重視し、この時代ではまだ過小評価されていた低打率・高出塁率選手を安く獲得。低予算ながらチームの黄金時代を築いた。まさに「弱くても勝てます」。今季打率.242ながら出塁率.401を残したパドレスのフアン・ソトは30年前ならあまり評価されていなかったかもしれない。

今季の大谷選手の出塁率は.356。これはMVP1回・オールスター出場6回のムーキー・ベッツが残した.340を上回る。

 

 

長打率:1打席数あたりの塁打数の平均値を表す指標。長打を打てば打つほど長打率は大きくなる。長打偏重気味の最近のメジャーリーグではかなり重要視される指標。

今季の大谷選手は長打率.519。これはガーディアンズのフランチャイズプレーヤー、ホセ・ラミレスが残した.514を上回る。

 

 

OPS:On-base Plus Sluggingの略。On-baseが出塁率で、Sluggingが長打率。計算方法は言葉の通りで「出塁率+長打率」。OPS.800を超えると見映えがグッと良くなる。「とにかくランナーを出して、それを長打で返す」という考え方が主流の現在のメジャーリーグでは最も重要視されている。

今季の大谷選手のOPSは.875。これはナショナル・リーグのホームラン王、カイル・シュワバーが残した.827を大きく上回る。

 

 

OPS+:平均的なOPSを100として、ある打者がそこからどれだけ傑出しているかを示す指標。「OPS+が120ならリーグ平均レベルの打者と比べて20%優秀」程度に捉えていただければ。

この指標がすごいのは球場が打者に与える影響を考慮していること。メジャーリーグには打者有利な球場と打者不利な球場が存在しており、前述の指標だけでは選手を公正に評価できない。例えばOPS.900を打者有利な球場で残した選手のOPS+よりも、OPS.875を打者不利な球場で残した選手のOPS+の方が良いなんてことも割とある。

今季の大谷選手のOPS+は145。これは今季101勝を挙げたメッツの主砲、ホームランダービー2回制覇のピート・アロンゾが残したOPS+146と同水準。

 

続いて投手を評価する指標です!

 

防御率:9イニング投げた場合における自責点(投手自身の責任で許してしまう失点)の平均値を表す指標。防御率が3.00であった場合は、9イニング投げた際平均的に自責点を3点に抑えるということ。4点台前後が平凡な防御率とされることが多い。アメリカではERAと表記される。

今季の大谷選手の防御率は2.33。これは昨季ワールドチャンピオンに輝いたブレーブスのエース、マックス・フリードを上回る。

 

 

ERA+:OPS+の投手版。「ERA+が120ならリーグ平均レベルの投手と比べて20%優秀」程度に捉えていただければ。

今季の大谷選手はERA+172を記録。これはナショナルリーグのサイ・ヤング賞候補筆頭、サンディ・アルカンタラが残したERA+178に迫る数字。

 

 

WHIP:Walks and Hits per Innings Pitchedの略。1イニングあたり平均的に何人のランナーの出塁を許してしまうか、という指標。1.2〜1.3程度が平凡なWHIPとされることが多い。

今季の大谷選手のWHIPは1.012。これはアメリカン・リーグの奪三振王ゲリット・コールが残した1.017を上回る。

 

 

SO/W:三振・死球比率。この比率が3であれば3回三振を奪う度に1回フォアボールを出すということ。3.5以上で優秀とされる。

今季の大谷選手のSO/Wは4.98。これはサンディ・アルカンタラが残した4.14を上回る。

 

 

最後に少し特殊な指標を紹介します。

 

WAR:Wins Above Replacementの略。訳すと「代替可能な選手に比べてどれくらい勝利数を稼ぎ出したか」。ちょっと何を言っているかわからないが、この指標が画期的なのは、投手野手関係なく全選手を統一的に評価できるようにした点。大体2.0〜3.0でレギュラークラス、3.0〜5.0でオールスタークラス、5.0〜7.0でチームを代表する選手クラス、7.0オーバーでMVPクラスと捉えていただければ。

今季の大谷選手のWARは9.6。これを上回るWARを今季残したのは、ロジャー・マリスが持っていたアメリカン・リーグのシーズン最多ホームラン記録を61年ぶりに塗り替えたアーロン・ジャッジのみ。

 

 

いかがでしたか? ここまで英数字についてきて下さったみなさん、本当にありがとうございました。

大谷翔平選手を筆頭としたメジャーリーガー達の豪快なプレー、そして彼らが残す数字に注目してみるのもまた一興ではないでしょうか。そして少しでもメジャーリーグに興味を持っていただければ何よりです。以上DJイッショウでした。