はじめての熱海一人旅

はじめまして! 2年の十全老人です。いっぱい勝ったことがあります。この間熱海に1泊2日で一人旅してきたのでお土産話聞いてください。

 

 

8月某日。その日もバイトをしていた。7月はテストであまり稼げなかったから、とシフトを詰め込んでいたのだった。毎日のように働いて、家に帰ってゼブラック。ゼブラック神アプリなので1回使ってみてください。そんな日常を送っていた。自分で入れたシフトだし、バイトも嫌いではないのでそれなりに満足していた。しかし、雑用をこなしていると、他のバイトと雑談をする職員さんの言葉が耳に留まった。

 

「大学2年の夏休みなんて遊ぶためにあんだよ〜〜〜」

 

はっと心がざわつき、目の前が少し暗くなるような感覚、鈍い衝撃。

 

今思うと正気に戻ったという表現が正しいような気もする。3年の夏は就活で忙しいかもしれない。4年の夏は遠すぎる。1年の夏には戻れない…………

 

就活を経験した社会人の声だし信じてみるか。熱海行きたいな。もちろん泊まりで。誰と行こうか。うーん、もう夏休み始まっちゃってるし友達は皆予定埋まってそうだよなあ。自分もまとまって2日間空いてるところあんまりないし。じゃあ一人で行くか。決定までそう時間はかからなかった。

 

1泊2日、一人旅。

 

開放感でウッキウキの雨期だった。東南アジアか? 宿は迷ったが、初心者向けっぽいデカめ規模のところにした。途中ゲストハウスなるものが安くてええやん!となったが、他のお客さんと交流しないといけないっぽいのが嫌すぎて普通のホテルにした。まごうことなき陰キャ。本物である。

 

 

当日、本物は東海道線で熱海へ向かった。

 

茅ヶ崎の駅メロが希望の轍なのめっちゃ良いな……一気にサザンの気分になってミス・ブランニュー・デイを聴いた。海軍本部少佐じゃないよ。准将でもないよ。バロックワークス社員でもないよ。平塚、国府津、小田原の東海道線ボスラッシュを凌ぎ、1時間ちょいで熱海に到着。

 

 

か、観光地の匂いだ______改札を抜けて目に入るのは色鮮やかな広告、商店街、人、車……「観光地の風情」の暴力を食らい、ワクワクが加速する。歌でも ひとつ歌いたいような イイ気分だ〜〜

 

▲ンッン〜〜♪

とりあえずお昼ご飯を食べようということで駅前のビルに入ると、レトロの塊に圧倒されてしまった。

中野ブロードウェイの構造で熱海をやってる感じ。照明、色合い、材質、お召し物やお土産を取り揃えるお店……なかでも目が合って離せなかった本屋さんでワートリの最新刊を買って地下に降りた。水上敏志やばない?

 

▲子供向けコーナー、紫がかった照明、全てが完璧。

ビルの地下には和食のお食事処が2軒並んでいて、一帯に旅館の朝食の匂いが立ち込めていた。今回素泊まりでお目にかかれないと思ってたから助かる。どっちにしようかな〜。

 

▲どこか縁を感じ海鮮丼を選ぶ。あら汁・小鉢付きという嬉しい誤算。

 

 

昼食を終え、次の決断に迫られることになる。

 

そう、この後何をするか?

____MOA美術館で洗練した世界を見るか、熱海秘宝館で昭和を浴びるか、熱海散策を極めるか____である。せっかく一人で来たわけだしなあ……熱海散策は守りに入りすぎてるかな…………気付いたら秘宝館のチケットを手にしていた。

 

秘宝館内は撮影禁止だが、そうでなくてもここには載せられないような光景があった。

 

昭和ってすっげ〜〜〜〜!!!!!!!!

 

退廃的なノスタルジー、明るくて大雑把な魂が繊細に滅んでいく儚い世界を想像していったら、そのあまりに大きすぎる生命エネルギーにびっくりしてしまった。終わってない。終わろうともしてない。秘宝館は生きている。その身が、造形が、過去のものになろうとも。そんな感じ。想像以上に食らってしまい、足早にホテルへ。

 

 

▲秘宝館は一人で来るところではない。

 

夕飯までの時間潰し。そんな軽い気持ちで温泉に入ると、思ってたよりうわあああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!! 温泉って最高!!!!!!!!! あったけ〜〜〜〜〜気持ち〜〜〜〜〜〜!!!!! 自分普段癒しとか感じないほうなんスけど、やばいっスこれ、温泉、マジ、うわあ〜マジかよ、うわあ〜最高……めっちゃ良い〜〜〜〜なんだこれ、こんなもんがこの世にはあるのかァ〜〜〜〜!!!!!!! となった。ほぼ貸切だったので、温泉良!! という感情に水を差されつつも今までとこれからのことを考えたりもした。

 

夕飯。お店のテレビでルフィがパズドラ王になる宣言をしていた。海賊王の夢はいいのか。

 

▲高倉健も愛したと言われるオムライス。美味しすぎて上手く食レポができない。不器用ですから……

 

食後、温泉に向かった。

 

今回泊まったホテルには、食前訪れた別館の岩風呂に加えて本館地下の大浴場と最上階の露天風呂の3種類温泉があり、1日目に二つ、2日目の朝に一つでコンプリートしようと考えていた。1日目のもう一つには地下大浴場を選んだ。ええ? 温泉ってこんなに良かったっけか⁇⁇ ア⁇⁇⁇⁇ 自分の中の何かが壊れ、気付いたら「高み」を目指していた。結局1日で三つとも制覇した。ルフィ、見てるか? お前が海賊王の夢を捨てている間にこっちは温泉王になったぞ。そういえばワンピース温泉説ってガチなんすか? 教えて偉い人^_^

 

▲サーカスみたいで良い廊下を歩いていると、どこから来たの〜とご婦人。「臭くて汚いライブハウスから来ました」とは言えなかった。

 

 

温泉を目一杯味わいぽかぽかで部屋に戻ると、やっぱり誰もいない‼︎ ああ、一人でここまで来たんだなあとしみじみ思い直し、何か大きい仕事をしたような気分に浸っていた。

 

就寝までは音楽を聴いていた。普段は大音量で激しい曲をかけることが多いし、当時のマイブームはまさしくそれだったのだが、なぜかこの日はおとなしい曲を聴いていた。

 

 

朝。珍しくアラームのスヌーズには世話をかけなかった。

 

さて、せっかく早めに起きられたので朝風呂にでも行こうかな。三つのうちどれにしようか……頭脳派なので、人の集まりやすい本館ではなく別館の岩風呂で貸切を狙うことにした。

 

結果は大成功。

 

紛れもない貸切風呂。晴れてるし。スゲーッ爽やかな気分だぜ 新しいパンツをはいたばかりの正月元旦の朝のよーによォ〜〜〜〜〜〜〜〜ッ いや〜マジで大成功だったな、別館狙い撃ち。我ながら冴えてた。もしポスト冬月の座とか空いてたら教えてください、必ずや碇司令のお役に立ってみせるので。

 

のんびり帰る準備をしてたら心惹かれた喫茶店の開店時間が近づいていたので、気持ち早めにチェックアウトを済ませ急ぎ足で向かった。

 

プリンアラモードを“PA”と呼んでいる口コミを見てからここって決めてたんです。日本語圏ならPAはパーキングエリアだろうが……と思いつつもそのPAの写真が良すぎてたから…………。

 

後から入店してきた若いスーツの男性が店員さんと親しげに話していた。どうしても熱海で働きたくて東京での仕事を辞めて賃貸を探しているところらしい。なるほどなぁ〜……。 自然とラックの静岡新聞に目をやっていた。

 

▲件のPA。横に長い。別メニューに背の高い容器に入ったパフェもあり、「横」と「縦」と呼んでるお客さんがいた。

 

店を後にし、熱海を好きに歩いた。

 

一人旅ってどこにふらふら歩いていっても良いし、ぼーっとしてても良いし、変なことしてても同行者に迷惑がかからなくて良いな。GTAみたい。

あそこ観光客多いしブッ放したらポリ来るだろうな。ウーウーウーつってな。そしたら手配度消えるまで逃げなきゃな……なんてことを思いながら近くにあったホームセンターに入った。

 

小さな頃はおもちゃとか無くてつまらないからホームセンターが嫌いだったが、今は結構良いなと思う。ホームセンターにはホームセンターの風情があることを知ったからだ。独特な、電気が煌々としているのに薄暗いあの感じ、天井から商品の形をしたでかい風船がぶら下がってる雑さ、柔軟剤のテスター、業務用っぽい扇風機。満足してまた歩き出した。このまま街を散策するのも良いけど……やっぱ海も見とくか。熱海の醍醐味のような気がするから。

 

水が青くて綺麗だった。横から見たときの山との対比が美しかった。熱海の山ってホテルとか住宅がいっぱいあって「良い」んだよね。海を見にきたのにまた人工物の話してる。WASTED!!

 

▲熱海の写真を撮るときはどうしても街を映したくなる。

 

 

熱海銀座は中心から離れれば離れるほど雰囲気のある建物が多かった。居酒屋とかスナックが多い方面は朝だからか人が少なく、より寂れた空気を帯びていた。観光客は他にはいない。地元の方からの棘のような視線が痛かったので、一通り堪能したら繁華街へ戻りお土産を買って帰った。

 

▲グレートですよこいつはァ〜〜〜っ

 

 

人生初の一人旅を終え、満足感に浸りながら今この記事を書いています。やりたいことやるの楽し〜〜〜! 急に決めた予定を実行に移しやすいのも大学生の特権ですナ。

 

まあ今回とにかく伝えたいのは、熱海って最高!ということと、一人旅って最高‼︎ということです。熱海の魅力は言わずもがなですが、一人旅って本当にマイペースに動けるし、良い意味で静かでとってもオススメです。熱海とかなら治安も悪くないし。一人の時間が欲しい方、一人旅に興味がある方はきっと楽しめると思うのでぜひ